2012年03月09日
SPCS OCP
SPCSは、現在アフガニスタンに従軍している陸軍兵士に支給されているボディアーマーのひとつです。フルカバータイプのIOTVに対して、機動性を重視したプレートキャリアです。SPCSは、「SPCS=Soldier Plate Carrier System」の意味で、海兵隊が採用しているEAGLE社の「SPC=SCALABLE PLATE CARRIER」とは同一コンセプトではありますが、別のものです。
SPCSは、山岳地帯で活動する兵士の負担を減らすため、動きやすさと軽さを重視したデザインで、任務によってIOTVと使い分けられています。部隊内でもそれぞれ同時に使われているシーンもよく見かけます。SPCSはアフガニスタンの従軍兵士に向けて60,000着以上がデリバリーされているようです。
さらにマルチカムがOEFの暫定採用となっていますので、IOTVやSPCSにもOCPとしてマルチカムが採用されています。
このSPCSは、複数のメーカーのトライアルによってKDH社のMAGNUM TAC1が選ばれました。理由は軽さ、使いやすさ、防御面などのハードウェアの優秀さに加えて、要求通りの供給力があったためとされています。
SPCSの優位性は、首周りのプロテクターやカマーバンドがなく、身体の動きを制限するものが少ないことです。その分、防御面積はIOTVには劣るものの、IOTVと同様のハードプレートとケブラー製ソフトアーマーで構成されているため、防弾能力はレベルIIIと違いはありません。ほかのプレートキャリアに比較して、MAGNUM TAC1がユニークなところは、フローティング式のサイドアーマーにあります。前後からストラップのみで連結されたサイドアーマーは、自由度が高く兵士の動きを妨げないようになっています。
それでは、SPCSの詳細を見てみましょう。
FRONT VIEW
フロントは全面にウェビングが配置され、IOTVと異なりカマーバンドのフリップアップがありません。MOLLEトップにベルクロがありますが、これがないタイプもあります。サイズはMです。
REAR VIEW
バックにはドラッグハンドルが備わっており、7列のMOLLEテープが配置されています。
SIDE VIEW
フローティング式のサイドアーマーはMAGNUM TAC1の特徴のひとつ。2本ずつのストラップで前後が連結され、前側のファステックスで脱着を行います。サイドアーマーの縦方向の位置決めと、連結を解除した場合にアーマーが落下しないよう、バックキャリアとストラップで連結されています。
SPCSの内側にはフロントとバックキャリア下部に、それぞれIOTVのグローインアーマーとロアバックキャリアが接続できる小さなMOLLEが備わっています。
BALLISTIC
SPCSにはすべてのキャリアにレベルIIIAのケブラー製ソフトアーマーが挿入されています。フロントおよびバックキャリアのソフトアーマーは、プレートキャリア全面を覆っていて、IOTVと比べても首周りを除けば十分な防御面積となっています。サイドアーマーはSPCSのサイズXS〜XLまで共通で1サイズのみの設定です。ポケットには、7×8インチのESBIソフトアーマーおよびサイドSAPIが入れられます。
サイドアーマーは、カマーバンドが省略されたデザインで、サイドSAPIポケットしかありません。ここにESBI、サイドSAPIを入れます。
プレートキャリア内部をのぞくとソフトアーマーが入れてあります。
DETAIL
SPCSを詳細に見ていくと、とても優れたプロテクターであることが分かります。多機能で複雑化しているボディアーマーがあるなか、シンプルで扱いやすいという方向へシフトしており、それが軽量化へとつながっているものと思われます。クイックリリースはIOTV同様、胸元のハンドルを引くとワイヤーに連結されたパーツの結束が解除され前後のプレートキャリアがバラバラになります。この結束も非常にイージーになっています。
MOLLEテープは、IOTV同様にマルチカムのパターンがプリントされたものが使用されています。よく見ると40〜50cmくらいの一定間隔でパターンが繰り返していることがわかります。
バックキャリアの内側にはSAPI固定用ストラップとサイドアーマーのサイズ調整用のバックル(矢印)があります。
クイックリリースは、IOTVと同じ位置にハンドルがあります。これを引っ張ると、ショルダーストラップを留めているワイヤーが抜ける仕組みです。
ショルダーストラップのサイズ長さは、バックキャリアの肩の部分に隠れているバックルで調整可能です。
サイドアーマーは、サイドSAPIが入るだけの大きさです。これをストラップでつないぐ構造となっています。上にあるストラップは、重量のあるサイドアーマーの落下防止のものであると同時にサイドアーマーの縦方向の位置決めも担っている重要なものです。このストラップを任意のMOLLEに挿し込んで調節します。
調整幅はかなり広く、目一杯延長するとここまで伸びます。
サイドアーマーが前後のテンションから解放され、バーチカルストラップで吊るされた状態。SAPIの重量もあるのであまりルーズだと、SAPIが暴れて逆に動きにくくなりそうです。
右の兵士のSPCSはサイドアーマーがバックキャリアと離れていて、大きな隙間ができています。防御面でも不安が残りますし、個人的な感想ですが見た目もよくないですね。
TAPとの連結
IOTVのGENIIとSPCSは、TAP(TACTICAL ASSAULT PANEL)とのジョイントを念頭に置いたデザインがされています。TAPはこれだけでベーシックロードである6個のマガジン(+1)を運用でき、必要な装備をすべて取り付けることもできる拡張パネルです。
TAPはSPCSやIOTVの両肩のリングと両脇をファステックスで固定するだけで連結でき、装備品のキャパシティを大幅に向上させます。チェストリグとして単体運用も可能ですが、これらのアーマーと連結することでその真価を発揮します。IOTVとSPCSを使い分ける場合、TAPに装備品を取り付けていれば、TAPのみの交換で瞬時に任務に必要とされる装備一式を移動させることができます。
TAPには初期型を含めたIOTVに接続するためのジョイントパーツも含まれており、あらゆるボディアーマー、プレートキャリアに取り付けることが可能です。
TAP×3(笑
TAPとの連結にはショルダーのDリングを使用します。IOTV GENIIにも同様のリングが備わっていますが、やや使用方法が異なるようです。
SPCSでは、TAPのストラップをDリングに通して、ストッパーを展開するだけで、煩わしい固定作業をしなくても落下することはありません。脱着が非常に手軽な仕組みです。このDリングを使用せず、MOLLEで折り返して取り付けている兵士もいるようです。おそらく、ショルダーのリングで固定するとクイックリリースのワイヤーを抜いても、連結が残ってしまうからかも知れません。
サイド側はファステックスのメスをMOLLEに取り付けて使用します。肩と脇の4点留めです。
ファステックスはTAPに付属するオプションパーツです。ファステックスの切れ込みにMOLLEを通して取り付けます。
SPCSにTAPをセットした状態です。大幅なキャパシティの向上がありますが、軽快さを若干削いでしまうかもしれません。ポーチの直付けも多々見受けられますので、いろいろ装備を変えていこうと思います。
SPCSとTAPの連結方法は兵士個人個人によってバリエーションも豊富。これが正解っていうやり方はなさそうです。SPCSやIOTVはかんたんにTAPと連結できますが、ワイヤーリリース時を考慮してか、IOTV用のアタッチメントを使って取り付けている兵士も結構見受けられます。あるいはショルダーのDリングを使用せず、胸のMOLLEで折り返して取り付けたりと、見本はあってもルールはないのでお好みの方法でいいと思います。
おなじみの広報フォト。SPCS+TAPでもっともベーシックな取り付け方です。さまに教科書通りです。
2人ともSPCSを装備しています。左の兵士はポーチを直付けしていますね。TAPを使用するよりスマートでかっこいいかも知れません。SPCSの軽快さを発揮できる装備だと思います。
どちらの兵士もIOTV用アタッチメントを使用しています。左の兵士は、TAP用ファステックスが取り付けてありますが、実はTAPではなくトリプルマグポーチを使用しています。胸にポーチを取り付けているため、TAPのストラップが邪魔だったのでしょうか? 右の兵士はIOTV用の取付けオプションをSPCSのショルダーに付けてTAPを使用しています。結構多いパターンです。
これらがMOLLEIIの官給キットです。割と入手しやすいので、よく吟味して組んでいこうと思います。
SPCSやIOTVは帰国後、国に返納するという話です。OEF限定となるか、今後のスタンダードとなるか、それともまったく新しい装備に更新されてしまうのか、マルチカム装備の行方も興味深いところですね。
では、ノシ
ストライカー旅団戦闘団
PROTECTIVE UNDER GARMENT part.2
PROTECTIVE UNDER GARMENT
PROTECTIVE OVER GARMENT
OCP complete!?
OTV(ARMY)
PROTECTIVE UNDER GARMENT part.2
PROTECTIVE UNDER GARMENT
PROTECTIVE OVER GARMENT
OCP complete!?
OTV(ARMY)
一一一一一一一
BTW, I finally got myself a Spartan. In fact, 2 Spartans, the Spartan 1 and Spartan 2. They are pretty sweeeeet, but just as I thought, Medium size is a little too big for me:(
hi,Kin.
I like all US forces, ARMY,MARINES too.
I dont have a IMTV.and never seen it.
but my friend have it.
You got SPARTAN 1&2!! Gratz!!!
I like SPARTAN2 now.but it was gone,replaced by MTV.
Medium size of SPARTAN2 fit me.
it is very comfortable for me.
>They are pretty sweeeeet
lololol
you love those very very!
こういうのは一体どこで入手されているのでしょうか?
良ければ教えていただけないでしょうか?
大変失礼いたしました。
ここに掲載されているものは、軍から支給されるキットの一部を説明するために掲載した写真ですので、私がすべてを所有しているわけではありません。
例えば、パトロールバッグやラージサックなどは現在のところ所有しておりません。
これらの品は、ネットオークションにも頻繁に出品されているので、入手は容易だと思います。
地道に集めていきたいと思います!
このSPCS自分も購入したんでがコンパクトでホントに良いですね!
購入時に記事を参考にさせて頂きました。
プレキャリいくつか持ってますが特殊部隊御用達の物なんかより
遙かに動きやすいですね。
中田商店のTAPを詳しく見たことはありませんが、webで見る限り、ジョイントパーツは付属していないようですね。(チェストリグという扱いらしいです)
ここで紹介しているTAPには、3種類くらいのアタッチメントが付属しています。
IOTV取り付け用ストラップのバラ売りはしていないので、ネットオークションなどで探すか、自作するという手段がいいと思います。
恐れ入ります。
SPCSを自分も購入しようかと思い検索していたところ、こちらもブログにたどり着きました。
大変貴重なレビューありがとうございます。
そこでご相談なんですが、SサイズもしくはMサイズで、サイズを決めかねています。
自分は身長165cm体格はやや痩せ型です。
Sagaさんの大雑把な見解で構いません。Mでは大きすぎる。Sにしておけば等あれば是非ご意見伺わせて下さいm(_ _)m
余談ですが、SはPALSテープ列が少なく前面は6個5列のようですね。
こちらの参考写真(裏表二人で写ってる)の無線を持っている方は、ダブルマグポーチとネームテープとの間に見えるPALS数からSサイズのようにも見えますね。
こんにちは。
ご質問の件ですが、私的な意見ですがお答え致します。
わたしの体型も似たようなものですが、Mサイズで大きすぎるということはありません。
身頃の横幅は約30cmなので、痩せていたとしても大きすぎるということはないと思います。
Sサイズでも調整幅は大きいので着心地で小さいと感じることはないかも知れませんが、もともとコンパクトなプレキャリなので、好みもありますが、SサイズはMOLLE列の少なさもあり見た目の小ささが際立ってしまうかも知れません。
個人的には、余程の痩せ体型でない限り「M」サイズをおすすめ致します。
身幅が30くらい・・・自分で持ってる6094のレプリカと同じくらいでイメージが掴めました。あともう一点、背面パネルの首中央から下の末端まで「着丈」になると思いますが、長さを教えて頂ければ幸いですm(_ _)m
Mサイズで良さげだとわかりました。
お陰様で入札に前向きに取り組むことができます。
放出品ポーチ類は用意してありますので、いつかどこかで米陸装備でお会い出来る日が来るかも知れません。その際は先輩と呼ばせて下さい(笑)
これからもこちらのブログを拝見させていただき、勉強させて頂きたいと思います。m(_ _)m